古代から飛騨は建築技術に秀でて、その技を都の造営に活用すべく、時の中央政府によって大宝元年(701)大宝律令が、養老2年(718)養老令(賦役令)斐陀国粂が制定され、匠の挑発が制度化されているのは史実の通りであります。
今回は、その「飛騨の匠」の技術の軌跡を探るべく、縄文・弥生の古代から中世まで、関係各所・各位のご協力をいただき、道具を中心とした埋没・発掘資料を借用展示。また、その製造法・使用法・建造物や制作物、そして職人の姿などに幅広く視点を当て、全国でも特質な木工産地としての飛騨を、過去・現在・未来形で「温故知新」として考察したいと考えています。
なお、来年度はPartIIとして、中世以降〜現代に的を絞った企画展を考えております。
展示品予定品
- 飛鳥(山田寺)、藤原京、平城宮、長岡京、平安宮等の遺跡より出土した柱根(ちゅうこん)・割板(わりいた)・木端(こっぱ)、檜皮(ひわだ)等、飛騨の匠が関わったと思われる建築部材を、奈良文化財研究所様や京都市埋没文化財研究所様の協力をいただき特別展示。
- 法隆寺建造に使われた道具は残されてはいないが、当時の部材の刃痕より道具の種類、刃の形、使用法などを推測して復元した道具を、竹中大工道具館様のご協力で特別展示。
- 奈良文化財研究所様の協力で平城宮遺物(含復元品)の、ものさし・墨壷・すみさし・手斧痕のある板・割板・ノミ・手斧・檜皮・削り屑・鋤・釘・釘隠金具・建築ひな形・鬼瓦・軒丸瓦等を、飛騨の古代寺院跡出土品と共に特別展示。
- 蛤刃石斧(はまぐりばせきふ)、扁平片刃石斧(へんぺいかたばせきふ)・石鏃(せきぞく)等の石器関係を飛騨の出土品を中心に特別展示。
- 運材図会等の資料や飛騨独自の道具、古代の木造り作業の情景や資料の展示の他、今昔物語の名工説話に登場する「からくり匠堂」や平安京「羅生門」模型の展示。
実演と体験
- 飛騨で発明され、延喜年間の頃から使われ続けてきた「まんりき」の榑剥(くれへ)ぎ実演。
- 石斧による木材の伐木実演と体験。
- 下呂石による石鏃(せきぞく)と石鎗(せきそう)等の製作実演と体験。
- 釿(ちょうな)作業実演
- ビデオ上映「大工道具と日本建築の歴史」「大工道具-その心と技-」など期間中日替わりで放映します。